
都市型社会に暮らす私達は朝、目覚めて一日を仕事や家事に費やして眠りの床に就くまで実に多くのデザインされたモノや環境の影響下にいます。誰かがデザインしたそれらの環境やモノ、あるいはサービスやコミュニケーションが時として私達に使いにくさという心身におけるストレスを与えているかもしれません。ところが忙しく現代社会を生きる私達は、そうしたくらしの中の違和感に気づけないでいる事も多くあります。私達一人一人は実に個性豊かで様々です。しかし一方で私達を取り巻く多くの生活用品はあまりに平均的かつあいまいな対象に向けて作り出されたモノが多くあふれていることも事実です。
トライポッド・デザインでは、1987年以来、環境デザインに端を発してから1990年、心を無として使い手一人一人へのデザインの適応(アダプテーション)をテーマに独自のユーザー参加型のデザイン技術の開発とそれらを応用した実践的なモノ作りの方法論を研究して参りました。特に、1992年よりはユニバーサルデザインのシステムエンジニアリングの開発と企業へのUD導入と実践を目標としたコンサルティングを開始し、今日まで60社を超す企業へのUD導入を支援して参りました。とりわけ1994年に開発を始めて国際的に多くのUDアワードを頂いたハンディバーディ以来、独自のUD達成度評価法を研究し、その普及と応用に努力して参りました。こうした経歴を通して私達が常に仕事の志として掲げている考え方に「使い手と共に生み出す」デザインの姿勢があげられます。そこには、初期に手がけたバリアフリーのデザインの中で学んで「一人の使い手」の為にでもデザインする事がデザインを仕事としている私達にとってかけがえのない「価値」や「技術」を生むものであるという確信が存在します。
まさに「使い手からデザインの未来」が見えるといってもよいと考えています。
中川 聰